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人の都合で咲く『染井吉野』の哀れ

まもなく満開を向かえる桜の中で代表的な「ソメイヨシノ」この桜は人間が見栄えを重視して作った木です。交配で増えることができない観るために生かされている木。

人工で作られたが故に病気に弱く、寿命が短い、一般的には60~80年といわれています。観られるための木だから人の多く集う場所、公園や街路樹に植えられてきました。それが今、社会問題になっているそうです。

先日テレビを観ていたら、街路樹をソメイヨシノからジンダイアケボノという新種に植え替えを進めているとか。

ソメイヨシノは老木が倒れたり、地中に這った根が段差を生んで邪魔になるという声があるそうです。

ソメイヨシノを作って植えたのは人間です。美しく成長が早く、小さいときから花をつける都合のいい木でした。こんなことになるとは思わなかった、じゃあ切ろう。仕方ないのかもしれませんが人間の都合で生まれて人間の都合でなくなると思うと切ないですね。

樹木医によっては、延命や治療ができることもあるようですが、条件の良い場所の極わずかなものなら別ですが、多くが見捨てられることになるのでしょう。

ジンダイアケボノは枝が上に伸びるので横に広がりにくく街路樹にむいているそうです。ソメイヨシノより赤みの強いピンク色、そちらのほうがきれいだと思う人も多いでしょう。でも私は蕾のときにピンク色で咲いたら淡い白に近い地味なソメイヨシノが好き。

こんな人間の都合をソメイヨシノはどう思っているでしょうか。

手塚治虫の「ブラックジャック」に開発で伐採されるケヤキの木を守れなくて自殺未遂をする おじいさんの話がありました。治療中にケヤキの老木から、「私が種を飛ばして作った子供の木があるから、それを私と思って面倒を見てください」といわれた夢を見るという話でしたが、自分から増えることのできないソメイヨシノは近年の研究で 他の桜の生態系の面からも除去すべき木になってしまう運命なのかもしれません。自ら種を残せないソメイヨシノ・・・。

100年後の、お花見は今私たちが見ている桜と違う花になっているのでしょうか。何故かさびしい気がします。

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