日本神話(1)記紀 基礎知識

知人と言っていいのかわかりませんがイラストレーターの「あべまりあ」さん( http://www.aso.ne.jp/maria/ )が古事記に関する本を出版されたとのことで注文しました。
(私は彼女のイラストのタッチが好きなのです)

私も古事記には昔から関心もあるし特に若い人には必ず知っていただきたい歴史書なので、何回かに分けて易しく掲載していきたいと思います。

第1回は、そもそも古事記とはなんぞやということです。西暦で言うところの2012年は古事記編纂1300年だったので、盛り上がりに期待していましたが、政治やメディアの扱いがあまりにも小さいのでガッカリでした。この人たち(政治家・マスコミ関係者)は日本人のフリをした外国人なんじゃないかと疑い始めたのもその頃でした。

できるだけ簡単に私の主観で必要な神様や人物しか書きませんから、興味が湧いたかたは自分で調べてください。

さて、『記紀』(きき)という言葉を知っていますか?「古事記」と「日本書紀」のことです。現存する最古の歴史書ということになっています。共に天武天皇が西暦の680年ごろ同時期に編纂を命じたのです。記紀を別々の編者に命じたところに、この2つの意図や性質の違いがあるわけです。

『古事記』は稗田阿礼(ひえたのあれ)が読み聞かされた「帝記」(天皇家の歴史書 現存せず)「旧辞」(古代神話 現存せず)を口伝し太安万侶が筆記したものです。古代日本には文字が無かったので記録は口承するしかなく、口承の担当のような家柄や係りがあったようです。方法はわかりませんがとにかく驚異的な記憶力の家系。古事記の完成は712年、上中下の3巻で和文調漢文(音を漢文で表す当て字、文字の意味ではなく発音が大事)で書かれています。歴史書としての体裁は[紀伝体]という人物を中心にして物語を書く方式に時系列を加えた「日本型紀伝体』で記されていて 内容は神話に重点を置き1巻を神話専用とし神話を天皇家に続け、天皇の成り立ちの正統性を国内向けに書かれたという性格があります。編纂に30年以上かかったので元明天皇に献上されました。

『日本書紀』は6名ずつの皇族と官人が編纂し太安万侶、藤原不比等、舎人親王などが携わったとされています。完成は720年、全30巻+系図1、神話は、そのうちの2巻だけ。全て漢文で書かれ史書としては[編年体]という年表のように出来事を時系列に書いていく当時の唐(China)が用いたような国際様式。天皇の系譜、皇位継承の説明になっていて海外に向けた正史との性格付けになっています。編纂に40年かかったので元正天皇に献上されました。

古事記と日本書紀内容も違うところがありますがそれには触れません。また同じ神や人物なのに文字は全く違ったりします。これは古事記が大和言葉(音)に漢字を当てはめたことと編者の違いによるものです。私は学者ではないのでそういったところは深掘りしません。また間違いの可能性もあることをおことわりしておきます。

さて我々現代人は、記紀をどう理解すればよいのかということですが、本居宣長先生登場までは日本書紀を宮中で教育するなど重きを置かれていたようですが、国学者である先生が古事記こそ最高の歴史書として35年の歳月をかけ『古事記伝』を刊行したことで古事記の地位が上がりました。私は断然 『古事記派』日本人が日本人に伝えるために書いた古(いにしえ)の神話に日本人の理念が込められているからです。

神話とは何でしょうか。以前、キリスト教の神話のことに触れたことがあります。事実と真実のことも書いたことがあります。キリスト教の神話『創世記』そこに教徒への真髄とも言えるメッセージ(真実)が書かれているわけです。神が天と地その他あらゆるものをどう創ったかという。

日本神話である古事記は記紀のうち神話(真実)に重きを置いた史書です。ですからここに、日本人の日本人たる所以が書かれている。では次回より、古事記の内容に入っていきます。海外の神話とはだいぶ違いますよ。神でありながら何と人間臭いというか、悩んだり、苦しんだり、恐れたり、殺したり、生んだり、です。神様がです。

 

*追記 「中国」(ちゅうごく)を「China」と書く理由
これはブログの別のテーマで詳しく説明したほうが良いのかもしれませんが簡略して触れたいと思います。私の祖父は亡くなるまで支那(シナ)と呼んでいましたが、昭和21年の外務省通達で「中華民国」がシナと呼ばれるのを嫌うので控ようということで、かの国を中国(ちゅうごく)と呼んでいます。ん?中華民国? そう、知らなかった人もいるかもしれませんが日本が支那事変で戦っていたのは蒋介石の中華民国。今皆が中国といっているのは、満州・モンゴル・チベット・ウイグルを含めた、共産党の「中華人民共和国」。蒋介石を台湾に追っ払ったのが旧日本軍。「そのおかげで共産党の国が出来ました」って、毛沢東さんも言っていたんです。中華思想って世界の中心で華々しいという意味ですから、自国が言うのは良いですが今でも世界の多くの国々がシナを語源とする称呼をしています。他国がChina をどう呼ぶか調べてみませう。そして日本人こそ「中国」(ちゅうごく)と呼ぶべきではないのです。それは中華思想云々では全くなく蔑視や差別からでもありません。私はChinaと書きますが、「中国」以外の公式な呼び方を考えて欲しいです。何故かというと「中国」は元々「なかつくに」古事記でもでてくる葦原中国(あしはらなかつくに)という日本の国土を示す言葉だからです。いまだに中国地方って日本にありますからね。中華民国にしても中華人民共和国にしても、20世紀に出来た国です。本居宣長先生は著書「馭戒慨言」(ぎょじゅうがいげん)のなかで唐土(もろこし)や漢(から)と書いていますが。古来(江戸中期)から地域的な呼び方として外国からあの地方はシナ呼ばれていたのです。そうです。シナも外来語(サンスクリット)で日本がつけたわけじゃありません。漢字もシナ自体が当てました。日本は関係ありません。  中国は「なかつくに」という日本語が先です。なかなか頭が痛い問題ですが。多くの日本人が知るべき事実です。

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