マガジンのカバー画像

日本神話 古事記 やさしい解説

28
運営しているクリエイター

記事一覧

日本神話 一旦整理

日本神話 一旦整理します。 日本の国柄の理念を記したのが「古事記」です。このブログの易しい古事記解説の一番初めの記事から読んでいただかないといけませんが単に歴史を記録したものではありません。 「記紀」と言われている「古事記」と「日本書紀」が何故同じ時代に2つ必要だったのでしょうか。これも以前書きましたが。共に天武天皇が西暦の680年ごろ同時期に編纂を命じたのです。記紀を別々の編者に命じ意味について今一度確認します。初回記事のほうが詳しいのでそちらもご覧ください。  『古事

日本神話 悲運の皇子 倭建命(ヤマトタケルノミコト)日本武尊

もっと後に書こうと思っていましたが敢えて日本武尊(ヤマトタケルノミコト)のお話しです。日本武尊と郷土の物語の2本立てです。まず初めに本稿は記紀(古事記/日本書紀)の中で皇子の御名も地名も場所も年代も若干のズレがあって説が定まっていないこともあることをご理解ください。 以前も書きましたが古事記は日本人用、日本書紀は海外主にChina向けであること。ともに40代 天武天皇の時代に編纂が始まったこと。私は学者でも研究者でもないこと。真実と事実は異なり私は真実のほうを大切にしたいと

日本神話 番外 「たったひとつのきまりごと」

また前回の更新からだいぶ時間が経ってしまいました。本年度もサンエイは無事に決算を迎えました。隠身(かくりみ 神の語源とも)と皆様の御陰様でございます。ありがとうございます。直下私共の製造業は大変な部品不足に陥っており来期(30周年記)は厳しいものとなりそうです。部品不足の原因は様々ですが大雑把に申しますと ①製造のグローバル化によって大手企業の資材調達が世界的になったことで一つの製品の部品を何カ国に渡っているためロックダウンした地域で生産した部品が遅延し全体の数%の部品が入

日本神話 補足 神蚕

神産巣日命から授けられた稲・粟・小豆・大豆の五穀(古事記による)のほかに唯一の動物である蚕について書いておきます。きっかけは、ある印刷物に載っていた記事を読んだことです。記事によると小学校で蚕の体験飼育をしたのですが幼虫が全てが死んでしまい教師がゴミとして捨てたという記事でした。これがなぜ記事になったのかというと神社で配った印刷物だったからです。起ったことは「飼っていた芋虫が死んだから捨てた」それがどうしたということかもしれませんが、日本人にとっては大事件なのです。 私が子

日本神話(21)神やらひ 穀物・お蚕の祖

さて、天照大御神が天の岩屋戸からお出ましになり、高天原(天上界)も葦原中国(地上界)も明るさが戻りました。今のコロナ禍の世界も早く天照大御神のお出ましが待たれます。一方の須佐之男命はどうなったのでしょう。 -------------- 是(ここ)に八百萬(やおよろず)の神、共に議(はか)りて、速須佐之男命(はやすさのおのむこと)に千位置戸(ちくらおきど)を負(お)おせ、亦鬚(またひげ)を切り手足の爪をも抜(ぬ)かしめて、神(かむ)やらひやらひき。又食物(また おしもの)を大

日本神話(20)天の岩屋戸隠れ 本当は天の岩屋戸籠(こも)り

天の岩屋戸隠れのくだりは、隠(かく)れるという言葉が定着してしまっている感がありますが、これは本来の意味は籠(こも)るです。天照大御神が驚いて隠れたというのは間違いというより少し理解が浅いと思います。闇は闇というものがあるのではなく光の不在だというのは、谷口雅春先生の言葉ですが、天照大御神は自らのお考えで岩屋戸にお籠りになったのです、これは光の不在、闇の中で様々な禍(わざわい)が出現します。今もコロナ騒ぎでだんだん世の中が暗くなっており光が遮られようとしています。光の不在の状

日本神話(19)かちさび/詔(の)り直(なお)し/天の岩屋戸隠れ(序)

建速須佐之男命は清明心(せいめいしん)が手弱女(たわやめ)=たおやかな三女神を生んだので私の勝ちだとお考えになったのですが、そこに天照大御神のお力もあるということには思いが到らなかったのです。 一般的に 須佐之男命に起ったこの御心を勝佐備(かちさび)として慢心のような意味にとられがちですが、私は自信(確信)をもったというニュアンスだと思います。その確信がその後の行動を過激にするのですが、元々、御名の通り力強く行動力のある神様ですから、その探求心が自信を持った場合、高天原の神

日本神話(18)宇気比/誓約/受霊(うけひ)

宗像三女神は思い入れのある方も多いのではないでしょうか、玄界灘に一直線に鎮まる お宮に祀られる神は、現代人の目から見ても至極神秘的な地で神意というものを強く感じます。私は古事記派ですが日本書紀でも三柱の神は特別に尊いご存在であるとされています。 「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群として平成29(2017)年に世界文化遺産に登録されましたが、信仰のある人にとっては、そんなことはどうでもよいでしょう。この海路がどれほど大事なものであったか、それを鎮め守ることが日本にとってどれ

日本神話(17)天照大御神・建速須佐之男命  宇気比/誓約/受霊(うけひ)

あなたは自らの心(清く正しきこと)を証明しなければならない局面で、どんな方法でそれを示しますか。 古来、日本人は「穢(きたな)き心」「清明(あか)き心(きよい心)」というものを非常に大事なこととして生活してきました。(穢(けが)れ(汚れ))というものを忌み嫌い、清いということを好む民族なのです。 身を清める、手を清める、建築物はシンプルな白木で作る。悪いことをしたら(していなくても)切腹。生き方も、経済も清きを求め汚き行いを最も軽蔑しました。 今はどうでしょう。お金持ち

日本神話(16)建速須佐之男命  高天原に参上(まいのぼり) 騒動へ

高天原の天照大御神は不信感の下 須佐之男命を迎えます。その姿は御髪(みかみ)を解(ほど)いて左右に御美豆羅(みみづら)を結います。これは本来男的武装、左右の手にも八尺勾璁之五百津美須麻流珠(やさかのまがたまのいほつのみすまるたま)を巻き、背に千本、脇に五百本の矢が入る靫(ゆぎ)を付け、大きな音を立てる鞆(とも)を身に着け、弓を振り立て、堅い地面を腿(もも)がめり込むくらいに踏みしめ、沫雪のように土を蹴り散らかして、荒々しく地面を踏み込み、威勢よく雄々しく勇猛に振る舞い。と完全

日本神話番外 『ことよさし』(言依さし・事依さし)

私がブログを書いているのは いずれ私がいなくなることを考えてのことです。 読み主の対象は不特定多数の若人、最も読んでほしいのは弊社社員社員諸君です。 その想いは残念ながら僅か20名足らずの社員にさへ伝わらないのです。 本稿では「ことよさし」を取り上げます。「言(事)依さす」とはなんでしょうか。 私の古事記解説解説では(4)地球誕生の段で 『天津神が伊邪那岐命、伊邪那美命 二柱の神に国を固め成せと言依さし賜いき』と(14)三貴子誕生の段で神々に『○○を知らせ」と事依さしたまひき

日本神話(15)建速須佐之男命 「なきいさち」

新年初の「やさしい古事記解説」本年もよろしくお願いします。 一人でも多くの日本を愛する人が國の始まりの物語を知る機会になれば幸いです。令和2年の初めは建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)の『なきいさち』の物語から。 しかも、書き下し文をなくし、物語で説明すると昨年末に言いながら、今回は書き下し文を引用します。父神であらせられる伊邪那岐命(いざなぎのみこと)、姉神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)との関係性が書かれている大切な部分だからです。今回の書き下し文は特に

日本神話(14)伊邪那岐命 御身滌(みみそぎ)のくだり 三貴神誕生 4/4

住𠮷大神の宇宙浄化の おはたらきのあと 三貴神のご誕生となります。伊邪那岐命の御喜びと、御子の戸惑いの物語へと続きます。 戸惑いは今回はまだ出てきません。戸惑います。この神様の葛藤というものが私たちに示唆するものがたくさんあるわけです。 ---------- 於是左(ここにひだり)の御目(みめ)を洗いたまひし時に成りませる神の名(みな)は天照大御神(あまてらすおおみかみ)。次に右の御目(みめ)を洗いたまひし時に成りませる神の名(みな)は月讀命(つくよみのみこと)。次に御鼻

日本神話(13)伊邪那岐命 御身滌(みみそぎ)のくだり 海神 3/4

いうまでもなく日本は6,852島から成る海洋国家です。今も昔も海の大切さは変わりません。 「海」とは「生み」の象徴 命の根源。海に囲まれた日本に生まれてよかったと思います。 『われは海の子』という大変良い唱歌もありますがGHQにより7番ある歌詞の4番以降が伏せられていることを知っている人がどれくらいいるでしょうか。 ---------- 次に水底(みなそこ)に滌(そそ)ぎたまふ時に成りませる神の名(みな)は、底津綿津見神(そこつわたつみのかみ)。次に底筒之男命(そこつつ